煩悩遍路10日目(後篇)「夜話」―修行の道場―

民家から少し離れた空き地にテントが2つ張ってあった。
あたりはすっかり闇に包まれ、肌寒い空気が漂う。

昨日出会ったばかりの若輩に、妻子持ちのおじさんがその性事情を語っていた。

かなしいかな、男という生きものの、その減数分裂により生成される生命の根源は、
日常的に溜まっていくばかりである。
それをいかにして発散するかは、その人の生き方に大きく影響されるし、影響を与えもする。

むなしくも、パートナーとの対人的発散は、結婚したとしても永劫続くとは限らない。



シロさんは、中年と呼ばれる年齢くらいから、それを別の人を対象に実施し始めたらしい。

シロさんはかっこいい。モテてモテて仕方がないらしく、
これまでに何人か同時進行で事を進めていたこともあった。

「でも、一人がいいよ。楽だし、いまは彼女のことを本当に好きなんだ」



シロさんはお酒をどんどん飲む。酔った顔がヘッドライトでかすかに見えた。
嬉しそうな、そして悲しそうな顔だった。



ぼくはドキドキしていた。
話には聞いていたその手の人が、しかも現在進行中の人が、目の前にいるのだ。

ぼくはシロさんが好きだ。アウトドアなんでもこいのスポーツマン、声もいいし、優しい。
おまけにインドアも得意で、ぼくと共通の趣味も多い。

ぼくはこれまでノンケに少なからず恋をしてきた。
そのたびに叶わぬ気持ちで心が締め付けられたけれど、諦めはついた。

でも、今回は、好きな人の、好きな人が、その人の妻じゃない。
恋心、背徳感、絶望感、嫉妬心、羨望、いろんな感情がまざりあって、
ぼくは錯乱状態になっていたのだろう。


「シロさん…シロさん、」
「ぼく、じ、じじ実は…ゲ、ゲイなんです。同性愛者です」

後にも先にも、お遍路中にカミングアウトした人は、シロさんただ一人だった。



さすがにシロさんははじめ動揺していた。
全然そんなふうに見えない。いつから。どうして。親には言ったの。…。

しばらく質問されたあと、フッと笑ってシロさんは話し始めた。

「昔ね、スペインのサンティアゴ巡礼っていうお遍路みたいなものに行ったことがあってね」

「様々な国から老若男女が集まって、自然発生的にグループみたいな形で巡礼するんだ」

「そこでね、2人の若い男性が手を繋いで歩いてたんだよ。
はじめはおやっと思ったけど見慣れると全く気にならなくなってね。2人ともいいやつだった」

「だから俺は別になんとも思わないよ」

シロさんはぼくを拒絶することなく、受け入れてくれた。
心が夜空に染み込んでいくようだ。
嬉しかった。



気がつけば、暴露大会となっていた。

シロさんは、そのサンティアゴ巡礼で若い女性から四つ葉のクローバーをもらって
これはマズい(恋されてる)、と思って断ったというモテエピソードを、

ぼくは、初恋の中学の先生のことや、ぼくの経験談を。

「ゲイは、法的に結婚できない上に男同士だから、わりとフリーダムな面があって、
よくその手の話は聞くし、…自分もやってます」

「まあ男女カップルより緩いですね。それはどうなんだという議論も勿論あるけど…」



しばらく話に花を咲かせていると、ぼくの股間にテントが張っていた。
長旅をした経験のある人なら分かってくれると思うが、抜くタイミングがあまり無いのだ。

4日ほど溜まっていた。
好きな人と猥談をして、もう我慢ができなくなっていた。

「すみません、ムラムラが…(笑)ちょっとトイレで抜いてきます」
「おう、いってこい(笑)」

すっかりシモな話が自由にできる仲になっていた。
まさか、お遍路でこんなことになるなんて。不邪淫(十善戒のひとつ)とは何だったのだろうか。



トイレからの帰り、空を見上げると昨日と同じく満天の星空がまたたいていた。

「シロさん、星、今夜もきれいですよ」

雑巾のように使い古された表現ではあるが、
とてつもない大きな宇宙の下で、いち人間なんてちっぽけな存在だと思う。

旅をしよう。色んな人の話をきいて視野を広めよう。
人生は短い。いつか死ぬのなら、好きなことをいま楽しもう。
色んな生き方があるんだよ…。

シロさんは、ぼくに語るように、そして自分自身を許すように、喋っていた。



2人ともわかっていた。
それが自身の行為を正当化するが故の戯言でしかないってことを。

でも、それでもいいんじゃないか。
正しくないけど正しいこと、は、ある。そんな気がした。



「君と俺は似てるよ。君は、自分がマジメで優等生的だというけれど、
本質は俺と一緒だと思うよ。考え方も、趣味も…」

「何かきっかけがあれば、殻を壊せるかもしれないね…それはきっと
君の人生を豊かにしてくれる」

人に何を言われようとも、自分の人生だ。好きなことをしよう。



もう時刻はてっぺんを過ぎていた。
翌朝も早い。夜話はお開きだ。おやすみなさい。



隣のテントから、シロさんが電話している声が小さく聞こえた。
「…愛してるよ、おやすみ。チュッ」



ぼくはその晩、なかなか寝付けなかった。
あまりに生々しい夜だった。

10日目(後篇)


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大丈夫?ちんこ揉む?

タイトル狂っててすみません()


9月から鬱のリハビリ施設に通いだしました。
2,3ヶ月後の復職に向けて規則正しい生活と、毎日の会話を楽しんでます。

施設に通う人の年齢層は様々なんですが、
中年のおじさんも多く、地方都市ってこともあってだいたい結婚してます。
なので、施設での何気ない会話でも「子供がグズって大変」とか「怪我した」とか
そういう話題が多いです。

そんな環境下にいるせいか、
最近、ぼく自身、漠然とではありますが「結婚」について考えることが増えました。


女性と結婚して、子供つくって、家庭をもちたい。


それについてTwitterでぶちまけたら思いの外反響がありましたので、
それを踏まえたうえで、備忘録的な意味付けでこの記事を作っとくことにしました。


将来のことを考える際、ゲイの場合はどうしてもずっとひとり(或いはパートナーと)で
暮らすことになります。
養子を迎えて夫夫で育てるというのも今の日本では現実的に難しい。

生涯独身というのは、気楽さという点では大いに結構なんですが、
やはり自分の血を引く、或いは自分の志(大げさ)を継ぐ存在がいて
彼ら彼女らのために生きていきたいという気持ちも、あるんですよね。


で、ここで問題になるのは、
①そもそもテメェ結婚できるような相手いるんか?
②子育てに向いてるんか?
③女と子作りできるんか?
④奥さんにゲイのことは言うんか?
⑤男同士の営みは継続すんのか?
のあたりでしょうか。


①②はノンケ男性においても言えることなので、まぁ一般化して語るのはやめておきます。
子育ては向いてない気がするけど…。
(姪にせがまれて塗り絵してあげたらガチの技法で塗ってしまって引かれた)

③から考えるにあたって、「既婚ゲイ」の方々のブログやらなんやらを
色々と漁って読んでみました。結構ググるとヒットします。
やはり当事者は悩んだりしてるみたいですね。


③は、問題なくヤれたって人と、目をつぶって男とヤッてると想像して頑張った人と、
結婚後にゲイ自覚した人(つまりその時は問題なくヤれた)、あたりが多かったです。
ぼくは、女性とヤッたことないのでなんとも言えないんですが、
ノンケもののAVとかみて女性の喘ぎ声聞くと萎えるので、期待はできそうにないかなぁと。

ただ、継続的に可能かというと、ちと厳しいきがします。
でも、そこはノンケ夫婦でも「セックスレス」という問題でよく取り沙汰されてるので
ゲイであろうとノンケであろうと関係のないところなのかもしれません。


④は、理解ある女性を探すしかないかなぁと思ってます。
ぼくは演技力が無いのと馬鹿正直な人間なので、
嘘をつく、或いは大事なことを言わないまま人と密な関係を築くのは
長い目で見るとできません。
(ぼくはゲイというセクシュアリティは大事なものだと思っています)

ビアンと所謂偽装結婚(友情結婚)する手もありますが、
その場合であっても、お互いプラトニックな愛を持ちあえるような間柄でなければ
結婚生活は難しいでしょうね。
幸い、自分の場合は過去を振り返ってみると女性と「友達として」仲良くやっていけた
例がいくつかあるので、ここはなんとかなりそうかなぁと勝手に思ってます。


⑤はかなりセンシティブな話題ですよね。
人にもよるとは言え、性的欲求の満足は生きてく上で結構大事だとぼくは実感してます。
でも、性的指向の向かない女性という存在とパートナーとなる場合、
浮気をして男で発散するしか道はないです。
実践してる既婚ゲイの方もいます。

予め、性的なことは各々別の人と発散すると納得したうえで
結婚できるような相手を見つけることになるでしょう。

ただ、あくまで浮気は身体だけの関係にとどめておくこと、
そして、奥さんとのスキンシップ(エッチまではいかなくても)は必ず継続すること、
基本として家族への愛は大事にすること、
このへんは肝心なポイントかなぁと思います。
スキンシップ、大事です。


とまあ、淡々と当たり前のことを書き出してみました。


ここからはぐだぐだ書いていきます。


ゲイである自分が結婚したいけど出来そうになくて悩む、
その根源には何があるのか?

・性欲の発散の行為
・子作り

この2点は、ノンケ夫妻であれば、はじめは同じベクトルを向く行為であるはずです。
しかし、ゲイの場合はまったく違う。
だから、そこでまず躓くんでしょうね。

ただし、数年経ってみたらどうでしょう。

妊娠したり子育てをしたり、お互い歳とってきたり。
セックスレスになる夫婦も少なくないのが現実です。
事実、熟年離婚やら熟年不倫、熟年中絶など、けっこうな社会問題になってるみたいです。

そう考えれば、上記2点は、ノンケ夫妻であれば全ての夫婦がずっと同じベクトルを向ける
わけではない、ということです。

その局面において、ゲイであろうとノンケであろうと、同じ状況になるんじゃないでしょうか。

逆に、ゲイであれば、性欲の発散の対象が男である以上、妊娠には発展しないし
法的にも問題ない(のかな?)ので、少しはマシなのかもしれません。
恋と愛(家庭)とを明確に切り分けやすい印象はあります。

倫理的に問題と感じるのはノンケと変わらないと思いますが…。

そして更に言うと、ゲイ同士のカップルであっても、浮気問題はあります。
ゲイ同士の場合だと法的に婚姻関係が無いわけなので気軽に浮気ができるんですね。


何が言いたいかというと、
ノンケ夫婦であっても、
ゲイと女性の夫婦であっても、
ゲイカップルであっても、
何年か経てば、浮気する人はするし、しない人はしない。
だから、自分が結婚してよいのだろうか?と悩むにあたって
浮気に関することは特別に考慮に入れる必要はそんなに無いんじゃないか、ってことです。

犯罪にされならなければ、恋の形は自由なはず。
そして、2人の関係も、こうあるべきという形は無く、三者三様。

うまくやっていけるような相手と巡り会えたら、その時に考える、くらいの
ゆったりとした心構えでもいいのかなぁと、色んな人の意見を聞いて、思いました。

勿論、結婚というのは相手の人生、親戚関係などの全てをお互いに背負うという
とても重大なことなので、生半可な気持ちで結婚しようとは思いません。
ただ、ゲイだからといって、即、女性との結婚という選択肢を消してしまうのは
違うんじゃないかな、と考えるようにいまぼくは思ってるわけなんですね。



昔は、そもそもゲイという存在をオープンにできる時代ではなく、
加えて結婚は絶対するものだ、というものだったので、ノンケ・ゲイ問わず
多くの人が結婚していました。

今は、その辺が自由になってきていて、ゲイとして生きる、つまり
ゲイカップルで住んだり、住まないにしても長く付き合う人が増えました(法律上は独身)。
ノンケにおいても、様々な事情で未婚の方は大勢います。

で、逆にここでぼくが「囚われていたなぁ」と思ってることがあります。
今の時代なんだから、ゲイであるのならば結婚はできない、しないもんだ、という
発想です。

別に、ゲイだからといって、女性との結婚を選んでもいいじゃないか、と。
そう思えるようになれば、更に気持ちや人生の選択肢が広がるんじゃないのかなと思うのです。


世界中で、いま、同性間でも結婚、あるいはパートナーになれるように
法整備が進んでいます。
日本でも一部地域の条例で、関係性を証明することができるようになってきています。
同性婚は当分先のことでしょうが、いつの日か、成立する、でしょう(希望的観測)。

その先にある、目指すべき形とは。

ゲイ・ノンケ関係なく、
結婚・未婚(あるいはパートナーという形)を選べる。
さらには、その相手の性別でさえ、選べる。
(不思議な例えをするならば、ノンケであっても同性と結婚してもいい、ということです)

自由とは、選択肢があることだ。

ゲイを自覚することで、ぼく自身、世界を広げることができた。
でも、逆に、それが人生を狭めてしまっている部分もある。

模索しつつ、とはなるだろうし、
結婚しても結局離婚してしまうかもしれない。

でも、はじめからゲイだから結婚は無理と決めつけず、
かといって結婚すべきと押し付けもせず、
柔軟な思考で生きることができたら
それはとっても嬉しいなって。


煩悩遍路10日目(前篇)「再会と疑念」―修行の道場―

10日目(前篇)

室戸岬に新しい朝が来る。現在時刻、AM5時前。

6月とは言えアウター無しではいられない寒風の中、海岸へと赴いた。
さあ、御来光だ。

世界が輝きだした。
動物たちの声が聞こえ始める。

おはよう、世界。おはよう、四国。



7時半、宿を出発。
自転車旅をしているおじさんから、お遍路さんと同じ宿に泊まれるなんて滅多に無いから
記念に写真撮ろうよと誘われた。
そんなに珍しくは無いと思うんだけどな(笑)



海岸沿いを北西へ歩く。
地形は相変わらずダイナミックで、海、道路、山が近く、そんな道がずっと続く。

断面図はこんな感じ↓

             
          / ̄ 
       人 / 山 
 ~~~~「 ̄ ̄ ̄    
   海    道     


途中で歩き遍路の男性と出会い、一緒に行動することになった。
ヤマさんと呼んでおこう。

30代後半の彼もまた区切り打ちで、今回は高知一国参りが目標だと言っていた。

2日連続で旅の同行者がいてくれるのはありがたかった。
何気ない会話が楽しい。

今日もまた快晴で、日陰もなく暑いけれど、
お互いの身の上話をしたり、これでのお遍路の出来事を言い合ったりと、飽きなかった。
途中、昔ながらの町並みが保存された地区があって、ちょっとした物見遊山気分で
歩くことが出来た。炭でできた風鈴、欲しかったなぁ。でも荷物はなるべく増やしたくない。



昨晩美味しいものを食べ、しっかり寝たせいか、足の調子がすこぶる良く、
若干の“ウォーカーズ・ハイ”状態になっていた。
今にも走りたくなるような感覚。走りはしなかったけど。

一方ヤマさんはそこまで快調でもなく、ちょくちょく休憩を取りつつ歩いた。

夕方歩き終えたときに
「君と一緒だったおかげで今日歩ききれたよ、ありがとう」と言われたけど、
思えば、ぼくも、ヤマさんのおかげで無理なくしっかり休みながら歩けたのだし、
何より精神的に色々と助かったのだよな。

お互いがお互いの支えになる。
そんな、人と人とのつながりを改めて認識させてくれる。



夕方、2人ともバテバテの状態で奈半利町の街中に到着。
ひさびさにコンビニを見て、駆け込む。飲み物などを買ってしばし休憩。
あの時ほどコンビニが神々しく見えたことは無い。

そこから更に川を越え、田野町に入る。結局30キロ近く歩いた。

ヤマさんは近くの宿に泊まるとのことで、ここでお別れ。
また会った時よろしくお願いしますね、と。



ぼくは今夜は道の駅Tにてテントを張るつもりだった。
従業員にも許可をいただき、準備万端。

まず近くの温泉にいってさっぱりしてからスーパーに買い出しかなぁ…
ぼんやりと座っていた。



…そういえば、昨日のシロさん、今日はどこまで歩いたんだろう。
足が速いから、きっとかなり先に行ってるんだろうな。

思い切って電話しちゃえ。

「プルrrrrr、あ、もしもし、昨日一緒にあるいたちかひらです。今日は暑かったですね。
お借りしてる帽子、役に立ってます」

「いや、シロさんはどこまで歩いたのかなぁと思って電話したんですけど…。
わー、もうそこまで行ってるんですね、さすがです」

「あーぼくは道の駅Tにさっき着いたので、ここでテント張ろうかなと思って
いま休憩中なんですよ」

「そうですね、明日は天気悪そうですが頑張りましょう、また高知に着いたら連絡しますね。
ではでは、ガチャン」

今日もシロさんの声が聞けた。それだけで心が弾んでいた。
なんだか急に一日が終わった気がして、力が抜け、
温泉に行く気はあるのだが、くったくたになった足がなんとも動いてくれないご様子。

しばらく地図やスマホを眺め、明日の行程を考えていた。



車が目の前に止まった。

「おーい、ちかひらくん!」
「!?????」

車から出てきたのは、シロさんだった。なぜここに?
夢かと思ったが、頬をひねっても痛くない。

どうやら、シロさんは今夜野宿しようとしていた場所附近で食料調達しようとしたが
スーパーが見当たらず、近所の人に尋ねてみたところ、
ありがたいことに、車でスーパーまで連れてってもらえることになったそうだ。

そのスーパーが、たまたまぼくが居た道の駅の近くだったので、
わざわざこの場所に寄ってくれたのだ。

嬉しかった。
ぼくのことを気にかけてくれているということが、嬉しかった。

「どうする?一緒にスーパー行ってさ、良かったら今夜は一緒に野宿しようよ」
「え、いいんですか?温泉行こうと思ってたけど…どうしようかな」
「昨日民宿で風呂入ったんだろ、今夜はいいじゃないか」
「それもそうですね、じゃあ行きます!」



ぼくが直前にシロさんにちょうどいいタイミングで電話したことと、
シロさんがお接待で近所の人にスーパーまで連れてってもらえることになったこと、
そのスーパーがぼくの居た場所のすぐそばだったこと、
これら独立した事象が奇跡的に重なって、ぼくはシロさんとまさかの再会を果たした。
こんなことって、あるんだね。

ありがとう、弘法大師さん…。
(不純な意味で)感謝しかないです。

そうしてぼくは、親切な地元の方の車お接待に便乗し、スーパーで夕飯を買い、
そのまま数キロ先の、シロさんが見つけた野宿ポイントまで向かった。



車の中で、ぼくはちょっと考え事をしていた。



シロさんはどうしてこんなにもぼくに親しくしてくれるんだろうか。
ぼくにかまってくれるのだろうか。
どうして野宿を誘ってくれたのだろうか。

昨日の歩いている途中に掛かって来た電話が気になっていた。
電話の向こうの声は聞こえなかった。
けれど、普通に考えると、おそらく、女性で、愛人的な存在だろう。

でも、もしシロさんがゲイで、電話の向こうがゲイ仲間だったとしたら…?
いやいや、結婚してるじゃんと思われるかもしれないが、既婚ゲイという存在は少なくはないのだ。
そして、今夜はぼくを狙おうとしている、という可能性もゼロではない。

四国遍路に関する書籍やマンガ、ウェブサイトなどでよく目にする、「ホモが出る」の記述。
信憑性は定かで無いが、そうした被害が出ている、らしい。
「あそこはホモが2人いるから野宿しないように」といった噂話を
他の歩き遍路から聞くことも実際にあった。

他ならぬゲイ当事者として、意識せずにいられない事柄である。
シロさんがゲイという可能性も、無きにしもあらず、なのではないだろうか…と。



と言いつつも、仮に噂話通りのホモに出くわしたとして、
ぼくもゲイなので、まあ何とかなるだろうというか、心の余裕はノンケよりはあるというか、
むしろシロさんがそうだった場合、ドンと来いというか、
そういうふうに思っていたりした。

…ただの変な妄想野郎である。
うーん。



さて、車に乗ること15分程度で、野宿ポイントに到着した。
それぞれテントを設営し、夕飯を食べ始める。
夕焼け空は赤く染まっていた。

「基本、毎日テント泊ですか?」
「そうだね、テント好きだから。風呂も特に好きじゃないから、水タオルで十分だよ」
「たくましいなぁ…」

シロさんは早くも缶ビール2杯めを飲み始めた。
夕飯を食べ終わってからも、趣味の話や体力の話、アウトドアの話など、話題は尽きなかった。



「そういえば、高知に着いたら本当に家に泊めていただいてもいいんですか?」
「もちろんいいよ、ぜひぜひ。ちょっと妻に確認してみよう」

シロさんは奥さんに電話をかけたが、出なかった。友達と飲んでいるらしい。
ちょっとした間のあと、シロさんが急に低い声で話し始めた。

「そうそう、ちかひらくん、お願いがあります」
「何ですか?」
「昨日、たまにかかってきてたあの電話のこと、妻の前では話題にしないでほしくて」
「ははあ・・・愛人、ですか?」
「まあ要するに・・・その、“彼女” がいるんだよ・・・」


気づけば、お互いの顔が見えないくらいに夜が迫っていた。


「・・・セックスレスって、分かる?」


―後篇へ続く―


煩悩遍路9日目(後篇)「縁を掴んだのは君だ」―修行の道場―

9日目(後篇1)

民宿Mの晩ごはんは海の幸だらけのとっても豪華なものだった。
カツオ、鯨、チャンバラ貝…とにかく全てがおいしい。

「この宿は当たりだねぇ!」
その日の宿泊客はおじさん2人(お遍路ではない)とぼくの3人。
3人とも、絶品料理に舌鼓を打ち、女将の饒舌なトークを楽しんでいた。


19時になった。
「今日の日没は19:10でしたよね?」
「そうね、あ、でもこれは完全におひさまが海に沈み終わる時間だから…」
「え、じゃあ急がないと!!行ってきます」
ぼくは、室戸岬からの夕日と朝日を見るためにこの宿に泊まったのだ。



急いで宿を飛び出した。空はすでにオレンジに染まっていた。

室戸岬の先端の山(盛り上がり)に隠れ、太陽は見えない。
もう沈んでしまったか…?疲れた足を懸命に持ち上げ、全力で走る。

数秒後、岬の西側に抜けた。

澄んだ空の遠く、海の上に、赤く、黄色い、輝く太陽が見えた。
スピードを緩めず、道路の西の端まで向かった。



「はあ、間に合った…」

そこには一人、スーツにワイシャツのお兄さんが佇んでいた。
この場所には不釣り合いな恰好だった。

「こんばんは、夕日、綺麗ですね」
「ああ、こんばんは、いよいよだね」



日没、それは、普段は意識しない太陽の動き、時の流れを
身体中で感じることのできる特別なひとときだ。

刻一刻、めまぐるしく空の色は変わり、太陽はおちてゆく。

無言でその様子を見ては、カメラにおさめ、目に焼き付け、溜息をついた。
ぼくは、この先、あの日の沈む先に向かって歩いて行く。
ここからは見えもしない、途方も無い距離を。

「終わっちゃったね…」
「終わりましたね」



「お兄さんは、スーツですけど、お仕事か何かですか?」
「うん、出張でね、全国を回ってるんだけど、各地で夕焼けを見るのが趣味なんだよ」
「いい趣味ですね」



太陽が沈んだあと、青とオレンジと紫の暗くも鮮やかな空と海を見ながら
2人は自然と話しこんでいた。



「ぼくは歩き遍路してて、お察しの通りとは思いますが休職中でして。鬱になっちゃいましてね」
「鬱かぁ、俺の職場にもいたよ。そいつは溜め込み過ぎて、
取り返しの付かないトコまで行っちゃったけど…」



「ぼくは完璧主義がたたってしまったんです。
先輩と自分とを比べてしまって、出来てない自分が情けなくて、
落ち込んでしまって。経験年数が違うんだから出来なくて当然なんですけどね」

「自分がいまの職業に向いてないんじゃないかと思って、
転職のために色々と勉強したり動いてた時もあったんですが、
どうしても周りや親の目が気になるし、
そもそもそんな冒険をしてしまっていいのかなと不安になってしまって」

「全然仕事できないし、迷惑しかかけてないと自分では思ってたんですけど、
休職する際上司から言われたんです、君は3年目にしては100点だったよって。
それならはじめから言ってよって思いましたけどね、ハハ」



気がつけば、海を見ながら、横にいる名も知らないお兄さんに悩みを吐露していた。
お兄さんもまた、同じく海を見ながら語りかけてくれた。



「やりたいことがあるなら、すぐやったほうがいいよ。
俺の父はね、歳いってからだけど、バイクで旅でもしたいって、言ってたんだ。
でも父は、お金もそんな余裕はないし、もう少ししてからでいいかなって、
バイクを買わなかったんだ。
そしたらね、そのあとすぐ病気になってしまって、一気に衰弱してしまってね。
結局バイクに乗る夢を実現できないまま逝ってしまったんだ」

「こうして急に父に逝かれてしまってね、生前そんなこと言ってたもんだから、
ガーンと来るものがあったんだよ」

「人はいつ死ぬか分からない。やりたいことがあるなら、すぐにでもやったほうがいいよ。
そしてなにより、早ければ失敗してもやり直せるんだから」

「俺はもう40代だし、家庭もあるから、大胆なことはできない。
でも、いまの環境下で、最大限のやりたいことを自分を信じてやってるよ。
その結果、営業の成績はずば抜けてトップなんだ」

「だからね、まだ道を大きく変えられる可能性の残っている若い人には、
やりたいことをやってもらいたいんだ。
若さは、他のどんなことよりも価値がある。それを若い人に知ってほしい」

「そういう意味でも、君が今、その歳で、やりたいと思った歩き遍路をしてることは、
すごく意味のあることだと思うよ」



空の青はすっかり濃さを増し、波の荒い音が2人を包んでいた。



「あと、君は人と比べて落ち込んでしまうと言っていたけど、それはナンセンスだ。
さっき言った通り、人はいつ死ぬか分からないし、人それぞれ与えられた才能も環境も違う。
人は平等じゃない」

「そんな不条理な人の世で、人と比べて、もしくは人から比べられて、
上司からほめてもらって、それには何の意味もないよ」

「俺は、人に依存せず、自分のことは自分で褒めてるんだ。
自分がやれる人間だってことは、自分が一番知ってる」

「君は実際の実力よりも自分を低く評価しすぎてるんじゃないかな。
10のうち3できたら、3できたことを喜ぼうよ。10できなかったことを嘆いてちゃ駄目だ」



「たいていの心配事は起こらない。行動したほうがいいよ」



この日に、たまたま夕日を見ようと出かけた2人が
たまたま同じ場所に来て、会話をした。

たまたま人生に悩んでいるぼくが、たまたましっかりとした人生哲学を持つ人と話ができた。
偶然にしては出来過ぎている。



「お兄さんと話してると、偶然なのに、会うべくして会ったというか、そんな気がするんです。
いまお遍路中なのでそれらしいこと言いますけど、弘法大師さんが作ってくれたご縁というか…
もはやお兄さん自体が弘法大師さんなんじゃないかって気持ちすらします(笑)」



「ははは、そう思ってもらえると嬉しいよ。でもね、1つ君に知ってほしいことがあるんだ」

「日没のとき、君が走ってきて、ここに止まって、ニッコリと挨拶しただろう。
初対面だったけど、その顔を見て、気が合いそうだと思って、俺も話ができたんだ」



「…縁を掴んだのは、君だよ」



真っ暗になった岬の先で、2人は握手をし、別れた。



もろもろの寝る支度をし、ライトを持ってぼくは改めて宿を出た。
岬の先端、小さな岩が敷き詰められた海岸に寝転び、空を見上げる。

星空の美しさに息を飲んだ。
どこまでも続く太平洋。空と海の境目が分からなくなる。

弘法大師空海も、この夜を見たのだろうか。
この変わらない波の音の下で。



異なる軌道を走る2つの星。たまたまの並走区間を終え、今後再び会うことはない。
けれど、片方の若い星は、確実に従来とは異なる軌道を進もうとし始めていた。

9日目(後篇2)



煩悩遍路9日目(前篇)「煩悩のはじまり」―修行の道場―

9日目(前篇)


「ドコドコドコドコ…」

早朝4時、太鼓の音で目が覚めた。
住職による朝のお勤めが始まったようだ。

ぼくとリク君はとりあえず起きて、顔を洗いに通夜堂の外へ。
住職とも朝の挨拶を交わす。

噂によるとこのお寺では滝行も可能らしく、チャンスあらばぼくも…と思っていたが
よく分からずなんだか眠くなってきたのでいつの間にか二度寝してしまっていた。

はっ…

気付いたら6時過ぎになっていた。通夜堂に、一人。
リク君はもう出発したようだ。
まぁまた縁があれば会えるだろう。



出発するまで住職と話すことができた。

「マジメは良いことだが、裏でストレスにもなる。物事には常に表裏があるんだよ」
「車のハンドルと同じく “あそび” を持とう」
「悟りを意識して生きよう。物事への執着がなくなること。いつもニコニコしていること」
「週に2,3日、脳を休ませる日を作ってみたらどうか。
 休日2~3時間遠くに行くとか、ぬるま湯で長風呂とか、汗をかくとか」
「ワシも基本的にマジメで自分を苦しめるタイプだから君の悩みはよく分かるよ…」

念願だった人生相談、予想以上に具体的なアドバイスはとても嬉しかった。
では、行ってきます!



今日は30数キロ歩いて室戸岬の先っぽの24番最御崎寺を目指す。
夜は、その近くの民宿Mに予約した。
これは5日目の終わりに出会ったヒロさん(逆打ち)にオススメされた宿だ。
歩いてすぐ室戸岬があるので、夕日、朝日、どちらも見られるよ、とのこと。


天気は快晴!
青い空、煌めくひろ~い太平洋、荒々しい波音。
右手に山、前に国道、左に海。単調だけれどその雄大な景色が楽しく、
ズンズンと足を進めていった。

「 私は空海になれない
  空海も私になれない
  私は私 私の道さがす 」

というメッセージ看板発見。
ほほう…。



ペースが近い歩き遍路のおじさんがいた。
抜きつ抜かれつしつつ、お互いを意識しあい…休憩場所にて先方から話しかけてきた。

感じの良い精悍でエネルギッシュなおじさんだ。無精髭がかっこいい。
聞けば、区切り打ち&野宿で歩いているそう。
しばらく話して、一緒に歩くことに。
ここではシロさんと呼ぶことにする。



話をしながら海の横を進む。
シロさんは高知県内に住んでいて、今回は家まで歩くらしい。

「ウチに泊まってってよ、妻もいるから狭いけど、寝袋でよければ」
「あ、ありがとうございます!助かります」

バリバリのアウトドア好きで、山、陸、川、海、ならなんでもござれ。
一方でインドアにも長けていて、絵や工作も得意。

すげー、スーパーマンかよ!
趣味という意味ではぼくと共通する部分(登山や絵)もあり、会話が弾んだ。

だんだん、ぼくはシロさんに惹かれていく自分がいた。



日差しが強い。南は海が広がるばかりで、陰もない。
帽子を忘れ、手ぬぐいを頭に巻いているだけのぼくに気を遣ってくれたのか、
シロさんがリュックの中をゴソゴソしだした。

「これ、予備で持ってきた帽子なんだけど、貸してあげるよ。
 今度ウチに来たとき返してくれたらいいからね」

…墜ちた。墜ちた!
ぼくは完全にハートを掴まれてしまった。
元々おじさん好きの上に、この優しさである。好きにならないわけがない。

好きな人に帽子を貸してもらえた。
この帽子を借りている限り、確実に、いつかまたシロさんと会えるということだ。


思えば、この旅の出発の朝、家で帽子が行方不明になった。
弘法大師さんがぼくとシロさんとを引き寄せるために、帽子を隠したのかもしれない。

そんなヘンテコなことを妄想するくらいには、ぼくは彼に惹かれていたんだ。



「プルルルrrr」
「やあ」

シロさんの携帯に電話がかかった。誰だろう。
電話の向こうの声は聞きとれないけど…。
まあ気にせず、歩く。



もうお昼になっていた。
昨日と打って変わって、楽しい時間が持て、時が経つのがはやい。
海の景色も素晴らしくて飽きない。
そして何より、シロさんというイケオジサンと一緒に歩けているんだから…。

昼ご飯は通り道にあるスーパーでお弁当やお惣菜を買った。
シロさんは昼からお酒を買い、飲みながら歩いていた。
「ちょっと感覚が緩まって歩きやすくなるんだよ」
って、アホか。恰好よすぎる。

一方ぼくは、無意識にシロさんの(速い)ペースに合わせようとしていたせいか
左足のくるぶしのあたりの付け根が痛くなっていた。
歩く旅、ピキッと嫌な痛みが走る。

重心を右半身に偏らせたり、左足の向きをズラしたりしてなんとかごまかしつつ、
シロさんに付いて行く。
けっこう無理していた。



歩き遍路3回目のシロさんには、お遍路自体についても色々とお話を聞けた。
なかでも、前々から気になっていた、「お接待を受けることへの罪悪感」について。
「甘えるのも修行のうちだよ」
とアドバイスをくれた。
なるほどねぇ、甘えること…。
ぼくはプライドが高くて、あんまり人に甘える、というか人からの協力を素直に受けることが
下手な面はあるよなぁ…なんて考えていた。



さて、延々海のそばを歩いているがまだまだ室戸岬にはつかない。
というか、見えない。分からない。
地図で見ると四国の室戸岬の東側なんてまっすぐじゃないかと思うけど、
実際に歩いてみるとけっこうジグザグしてて、遠くからは室戸岬が分からないのだ。

それでも今日の行程の半分を過ぎたあたりで、名勝「夫婦岩」に到着。
おお~ここが夫婦岩か。大小二つの大きな岩が縄で繋がれ、
ザッパーンと大きな水しぶきがかかり、風も強い。

「プルルルrrr」
シロさんの携帯が鳴った。

「やあ、いま夫婦岩に着いたところだよ、うんうん、現地で連れが見つかってね。
 かわいい女の子だよ…いや冗談、冗談。爽やかな若い男の子だよ…」
(・・・)
「誰と喋ってたんスか?」
「いやねぇ、ファンがいてね(笑)」

ファン…?
まあいいか。



近くの木の下にある僅かな陰に座り、お昼ご飯を食べる。
足を休め、ちょっとマッサージをすると、いくぶんか足の痛みは取れた。



ひたすらに、岬を目指して歩く。
「どんな歌を聴くの?」
「う~ん、けっこうバラバラですね。古いのから新しいのまで。吹奏楽とかも好きですし」
「俺はフォークやジャズがもっぱら好きだね」
「フォークもたまに聴きますよ、最近だと『岬めぐり』がお気に入りで、この旅のテーマソングにしてるんです」
「お、『岬めぐり』懐かしいなぁ。俺、若いころ好きな人にフラレて、その曲の通り、バスで岬を旅したよ」
「何やってるんですか(笑)」

とまぁこれは一例だが、話をすればするほど趣味が合う、というか、似てる部分があるのだ。
それはシロさんも同じように思っていたらしい。
はじめにそれを直感で感じ取り、声をかけてくれたんだって。



夕方、ついに室戸岬に到着。
そこから更に山を登り、標高165mにある24番最御崎寺へ!!

「あれだけ歩いた後もすいすい階段を登れて、俺のペースに着いて来れるなんて、
 キミ体力あるよ」

いえいえ、おたくがいたから頑張れたんですよ…と、こっちは完全に乙女心である。



ぼくはまた下山し、岬の先の民宿へ泊まるが、
シロさんはもうちょっと歩いてその辺で野宿をするそうだ。
多分おたくの方が足が速いから、追いつけないとは思いますが、高知でお会いしましょう。
連絡します。
帽子も返さないといけないですしね。



シロさんが何度も口にしていたことを思い出す。
「ほら、お遍路してたらよく見るだろう、人は誰でも何をしても死んだら石になるんだ。
人はいつ死ぬか分からない。今、やりたいこと、好きなことをしなくちゃ。
人に何を言われようとも、自分の人生だよ」

好きなこと…。お遍路、かなぁ。
なんとなくだけど、お遍路をしている自分に対して、肯定的に捉えられるように思えた。



さようなら、シロさん。今日は楽しかった。



民宿Mに到着。南海トラフ地震が来たら一瞬で津波に飲み込まれるんだろうなぁとか思いつつ、
まあそんなもん考えたところで…ってとこだよね。
ある意味、シロさんの言葉を借りれば、好きなことをしていて死ねるのなら…。



夕飯までのあいだ、室戸岬の先端を散歩する。
三年前のスケッチ旅で、バスで来て、約1時間だけ滞在した場所だ。
そこに歩いてきたというだけでも、感慨深いものがある。

ああ、ここだここだ。この岩の上でスケッチしたんだっけ。
聞こえるのは波の音、岩に水が打ち付ける音、風の音。

遠く太平洋を臨む。

心を無に…はならなかった。
シロさんのことが頭につきまとう。

カッコ良かったな。次はいつ会えるんだろう。
「いい人」に出会えた。満ちたりた一日だった。
お遍路に来てよかったと思った。



さあ、夕飯の時間だ。
ごちそうが、待ってる。



―後篇へ続く―


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