煩悩遍路19日目「やりたいことは辛いこと」―菩提の道場―

朝から雨の予報。
ということで、降る前にテントを撤収!朝の5時には出発。

今にも降り出しそうな曇天の下、黙々と歩くが、どうも左足のいつもと違う部分が痛い。
やっぱり無理してるのかなぁと不安にはなる。



やがて雨が降り出した。

ちょうど道沿いに、モーニングをやっている落ち着いた雰囲気のお店があったので
雨宿りと休憩とブランチついでに寄ってみた。
ホットサンドが冷えた身体にうまい。

今晩の寝場所どうしようかなぁ…
雨だし、こういう日は野宿は避けたい。そこで宇和島にある遍路宿Mに電話してみた。
結果、OKとのこと。当日の急な予約も受け付けてくれる四国。ありがたい。
こうして今晩のお風呂と寝床が確保できた。これだけでも随分と気持ちが違う。



津島町から宇和島市街にひと山越えて抜けるには2ルートある。
一つは国道56号線の松尾トンネルを素直に歩くルート。
もう一つは標高差180mの松尾峠遍路道のルート。

遍路用の地図には、松尾トンネルは全長1,710m、通過所要時間約27分、
車両交通量が多く、トンネル内は排気ガス充満の状態になる、と書かれている。
反対に、松尾峠遍路道は自然満喫の道、とのこと。

雨が降ってるけどそこまで本降りでもないし、
今夜の宿の場所から逆算するに時間的余裕はある、と考えて
僕は遍路道の方を歩くことにした。

この時点で、自分の歩きにちょっとした過信があったと、今では思う。



その遍路道は要するに登山道みたいなもんで、暗い木々の下を歩くことになった。
時折、県道や林道を跨ぐ。

雨が降っていていちいち地図を開くのが億劫なので、道標を頼りに歩く…

しばらくすると、つづら折りのアスファルト舗装の道をずっと進んでいることに気付いた。
どんどん標高も上がっている。そして、道標はしばらく見ていない。

腕時計のコンパスで方向を調べた。
本来ならば全体として北へ向かうべきはずなのに、なんとなく南に向かってしまっている…

これはもしや…

次の道標が見えるまでもう少し歩いてみるか、
それともすぐに引き返して一つ前の道標を確認するか。

雨はすっかり激しくなっていた。
当然こんな山道を通る人も車もまったく姿を見ない。

濡れたスマホの地図アプリを駆使し、現在地を調べる。
どうやらいつの間にか県道46号線に入り込んでいたようだ。
このままでは逆走になってしまって宇和島市街まで行けない。

焦りはもちろんあったけど、なんだかこの迷った30分くらい?が
ものすごくもったいないなと思った。
それ故に、なかなか引き返す決意ができなかった。

結局引き返したのは、県道の道路標識とその先に何があるかが書かれた案内板を見かけた
地点だった。

引き返すこと30分、ようやく道標を発見。
山道→県道を横切る→山道 と行くべきところが、雨で視線が下に向いていたせいか、
気づかずにそのまま県道を進んでしまったようだ。雨の日あるある。



あーあ、雨なんだから、無理せずトンネルルートにすればよかったな。
ま、とにかく正しいルートに帰ってこれて正直かなりホッとした。
雨、山、無人。遭難だなんて、シャレになんないもんな。

自分でまいた種とは言え、なかなかしんどい経験だった。
孤独な遭難も修行…なのかな。

高速道路の高架下で一端雨宿りをする。
このレインウェア、完全に防水機能が失われてるよなぁ…帰ったら新しいのを買おう。
それにしても足の指先が痛い。宿につくまでの辛抱。



ずぶ濡れで夕方に宇和島市街にようやく到着。
商店街にて、歩き遍路発見!スポーティーなおっちゃんだった。
少し話してみたところ、番外札所も廻っているそうだ。ペースは僕のほうが少し速い、のかな。

昼間、ひとりぼっちで遭難しかけただけあって、歩き遍路に会うと途端に元気になった。
名産品のじゃこ天をおやつにひとつ買う。ここも3年前に来たんだよな。



その晩の宿の予約者はぼくひとりだった。
すごく清潔で広々とした宿で、
濡れた靴用の新聞も大量に用意してくれているというサービスっぷり。
いい宿に予約できた。正解。悪いことのあとには良いことがやってくる。

風呂で温まったあとに、部屋で足裏を確認する。
この雨でぐちょぐちょになった靴で山道を歩いたせいか、足の指にマメがどどーんと出来ていた。
お遍路してて一番デカイ規模のマメ、ついに襲来。


やっぱり雨は嫌だ、と思いつつ、マメの水を抜き、消毒して絆創膏を貼る。
処置完了。翌朝にはマシになってますように。

なんとなく足裏の皮も分厚くなってきている気もする。
お遍路再開して10日目。身体にはこれからもどんどん変化が出て来るだろう。
いつまで続けられるか…?



昼間のこと。

雨の中、山を歩いていると、なんでここにいるんだろうという疑問が頭をよぎっていた。
やりたかったことなのに。

でも、即刻帰りたいとは思わない。
辛くてもやりたい。続けたい。

やりたいことと辛いことは、実は表裏一体なのかもしれない。


そして、あの雨を乗り越えた今は、すっかり落ち着いて、
充実感をもって1日を終えようとしているという事実。

なんだかんだ言って、ぼくは歩くことも山も好きなんだろうな。

19日目

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