仮面の告白 その1

三島由紀夫の代表作の一つに「仮面の告白」があります。
これは言わずと知れた(?)同性愛者のお話。
そもそも三島自身がゲイだったと言われています。
(というか文章読んだら、これ当事者じゃないと書けないでしょっ!って思いましたよw)

で、自分の為に書きとめておく目的で、文章の中から、ゲイとして共感できる箇所を挙げてみることにしました!
読んでない方にはちんぷんかんぷんな箇所もありますがご了承くださいw

長いけどとりあえずこれで半分くらい?かな。


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私も同様ながらまた多少ちがっていた。私にあっては、(このことは私を赤面させるのに十分だったが、)彼の夥しいそれ(※わき毛)を見た瞬間からerectio(※勃起)が起こっていた。間服のズボンのこととて、悟られはすまいかと気遣われた。


私はしばらくわからなかった。辻褄を合わせて笑いこそすれ、三十秒ほどわからなかった。やっとわかった。片倉の母はまだ若く美しい痩形の未亡人だった。
そのことよりも更に私をみじめな気持にしたのは、こうした遅い理解が、必ずしも私の無知から来るものではなく、彼と私との明らかな関心の所在の差から来るのだということだった。


私自身には女車掌なんかから受ける肉の魅惑がすこしもないのに、純然たる類推と例の手加減とで意識的に言われたあの言葉が、友人たちをびっくりさせ、顔を羞恥で赤くさせ、あまつさえ思春期らしい敏感な聯想能力で私の言葉から仄かな肉感的な刺戟をさえ受けているらしいのを目のあたりに見ると、…


私がバスの女車掌について些か肉感的な言草ができたのは、実に単純な理由にすぎず、その一点だけに私が気づいていないということを。―――それはまことに単純な理由、私が女の事柄については他の少年がもっているような先天的な羞恥をもっていないという理由に尽きるのである。


…この時期から彼らも自瀆に熱中するらしかった。私もその点で彼らと全く同じであった!同じであるにもかかわらず、この悪習の心の対象に関する明らかな相違については、私の自己欺瞞が不問に附してしまった。


私は知らなかったのだ、彼らが私と内なる感覚の面だけではなく、外への見えざる表われに在っても、はっきりとした差異を示していたことを。つまり彼らは女の裸体写真を見れば、すぐさまerectioを起こしていたことを。私にだけそれが起こらなかったことを。


私にはまるでわからなかった。恋と性慾とがどんな風にかかわりあうのか、そこのところがどうしてもわからなかった。近江が私に与えた悪魔的な魅惑を、もちろんそのころの私は、恋という字で説明しようとはしていなかった。バスで見かける少女へのかすかな自分の感情を、恋かしらと考えているその私が、同時に、頭をテカテカに光らした若い粗野なバスの運転手にも惹かれいているのであった。無知が私に矛盾の解明を迫らなかった。


運転手の若者の横顔を見る私の視線には、何か避けがたい・息苦しい・辛い・圧力的なものがあり、貧血質の令嬢をちらちら見る目には、どこかわざとらしい・人工的な・疲れやすいものがあった。


知識慾と大して逕庭のないこの純粋な精神的な好奇心を、私は私自身に「これこそ肉の慾望だ」と信じこませることに熟練し、…


本然のものをいつわっているという無意識のうしろめたさが、かくも執拗に私の意識の演技をかき立てたのであった。しかしまたひるがえって思うに、人はそれほど完全におのれの天性を裏切ることができるものだろうか?たとえ一瞬でも。


私はつまり、それ(※接吻)をどうでも欲望と信じたいという不条理な欲望を、本来の欲望ととりちがえていたのである。私は私でありたくないという烈しい不可能な欲望を、世の人のあの性慾、彼が彼自身であるところからわきおこるあの欲望と、とりちがえていたのである。


近江になりたいという私のねがいは実は私の近江への愛だったと…


それでいて、私は自分が額田の姉に恋しているのだと信じこんだ。私はいかにも私と同年輩の初心な高等学生がするように、彼女の家のまわりをうろついたり、彼女の家のちかくの本屋で永いことねばっていてその前をとおりかかる彼女をつかまえる機会を待ったり、クッションを抱きしめて女の抱心地を空想してみたり、身も世もあらぬ様子で自問自答してみたりした。それが何であろう。これらの人工的な努力は何か以上なしびれるような疲れを心に与えた。たえず自分に彼女を恋していると言いきかせているこの不自然さに、心の本当の部分がちゃんと気づいていて、悪意のある疲れで抵抗するのであった。


彼はよく、息をはずませながら、荒々しい手つきで上着のホックを外した。そしてワイシャツの裾のほうをズボンからむしりとるように激しく引抜いた。私は号令壇の上に在って、こうして事もなげに露わにされる彼の白い滑らかな上半身を見まいと思っても見ないわけには行かなかった。


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その2に続きます~。

自分に当てはまる内容も多いよ~(゜_゜>)
僕がゲイ自認してから早い段階で読んだ小説でもあります!
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